線維筋痛症の方とお話ししていていつも胸が痛くなるのは、痛みそのものよりも分かってもらえないことに深く傷ついている方が多いことです。

H.Mさん(兵庫県西宮市・44歳・パート勤務)も初診のカウンセリングでこう言いました。

「夫にもまた痛いの?って言われて、家族にすらこの痛みを信じてもらえないんです」

全身が痛い。ぶつけたとか捻ったとかではなく、何もしていないのに髪をとかすだけで頭皮が痛い、服が擦れるだけで肌が痛い、肩も腰も膝も常にズキズキしている。

でも病院で検査をしても異常は出ない。レントゲンもMRIも血液検査も異常なし。整形外科では気のせいでは、内科では更年期でしょう、心療内科ではストレスですね。3年間、5つの病院を回ってようやく線維筋痛症という診断にたどり着いたのがH.Mさんでした。


「検査で異常なし」が、いちばんつらい

線維筋痛症は全身に慢性的な痛みが続く病気です。日本では人口100人あたり1.7人、200万人近くの患者さんがいると推測されていて、その75%以上が女性、特に20〜60歳に多いとされています。

やっかいなのは原因が不明で、血液検査やCT、MRIをしても異常が現れず、この病気を診断できる特別な検査が今のところないこと。だから診断までに時間がかかり、その間に詐病や怠け病と誤解されてしまう方が後を絶ちません。

H.Mさんもまさにそうでした。

「最初に痛みが出たのはちょうど仕事で大きなプロジェクトを任されて毎日残業していた頃でした。肩と首がガチガチに凝って、そのうち腕、背中、腰と痛みが広がっていって、最初は疲れかなと思っていたんですが、休んでも全然取れなくて」

痛みは波がありながらも消えることはなく、やがて夜も痛みで眠れなくなり、日中は強い倦怠感に襲われるように。集中力も落ち、気分も沈み込んでいきました。

一番つらかったのは、誰にも分かってもらえないこと。

これは機能性ディスペプシアコロナ後遺症脳脊髄液減少症の方々が口を揃えて言う検査では異常なしと言われるつらさと、まったく同じ構造です。数値に出ないからといって痛みがないわけではない。


漢方は痛みをどう見るか

漢方では痛みを「気・血・津液(しんえき)」という体の構成成分の流れと量の問題として捉えます。

少し噛み砕くと、

東洋医学には不通則痛(ふつうそくつう)不栄則痛(ふえいそくつう)という言葉があります。前者は流れが滞ると痛む、後者は栄養が足りないと痛むという意味。つまり、血や気の流れが滞っているか、あるいは体を養う血そのものが足りていないと、痛みが生まれると考えます。

線維筋痛症の方を診ていると、この両方が絡んでいることがほとんどです。長期間のストレスや過労で気の巡りが滞り(肝鬱気滞)、血の流れも悪くなり(瘀血(おけつ))、さらに痛みと不眠で体が消耗して血そのものが不足していく(血虚)。痛みが痛みを呼ぶ悪循環に入ってしまっている。

だから漢方では痛み止めのように痛みを上から抑えるのではなく、滞った流れを通し、不足した血を補い、体が本来持っている回復力を取り戻していくという方向で治療を組み立てます。


H.Mさんの漢方的体質

検査の異常なしとは裏腹に、漢方的にはたくさんのサインがありました。

舌を見ると色が暗く、ふちに歯の跡がついている。これは血の巡りが悪く(瘀血)、同時に体に余分な水分が溜まっている証拠。みぞおちあたりが硬く張っていて、ストレスで気が滞っている方によく見られる反応です。

そして手足が冷たい。H.Mさんは夏でも手足が冷えると言っていました。冷えは血の巡りをさらに悪くし、痛みを強めます。

総合すると肝鬱気滞+瘀血という、ストレスが長年積み重なった状態。痛みが3年続く間に体の土台がすっかり痩せ細ってしまっていました。

正直に言うと線維筋痛症はすぐに劇的に良くなる病気ではありません。H.Mさんにも魔法のように痛みが消えるわけではないこと、でも体を立て直していけば徐々に痛みが無くなっていくことを最初に率直にお伝えしました。


治療の経過

1〜2ヶ月目:まず睡眠から

H.Mさんの場合、痛みそのものよりも先に睡眠と倦怠感にアプローチしました。痛みで眠れない→眠れないから回復しない→回復しないから痛みが強まる、というループをまず睡眠のところで断ち切りたかったからです。

1ヶ月ほどで夜中に痛みで目が覚める回数が減ったとのこと。完全に眠れるわけではないけれど朝起きた時の絶望感が少し和らいだと話してくれました。

倦怠感も少しずつ軽くなり、午前中に家事が少しできるようになったと。痛み自体はまだ強いままでしたが、体の底が上がってきた感触がありました。

3〜4ヶ月目:痛みの波が変わってきた

この頃から痛みに変化が出始めました。

痛みが消えたわけじゃないんですけど、ずっと10だった痛みが調子のいい時は6くらいまで下がるようになってきた

線維筋痛症の痛みは天候やストレスで波があります。H.Mさんの場合、その波の底上げとピークの低下の両方が起きてきました。一日中ずっと激痛という状態から、痛む時間と少し楽な時間があるという状態へ。

冷えも和らいできて靴下を重ねなくても眠れるようになったとのこと。血の巡りが改善してきたサインです。

5〜6ヶ月目:気持ちが前を向いてきた

体が楽になってくると不思議と気持ちも変わってきます。

痛みのことばかり考えていたのが、今日は何を作ろうかなとか、痛み以外のことを考える時間が増えました

H.Mさんは痛みで諦めていたパート勤務を、週2日から再開しました。無理のない範囲で体と相談しながら。働けることがこんなに嬉しいとは思わなかったと。

ご主人もH.Mさんが少しずつ動けるようになっていく様子を見て、ようやく本当に痛かったんだなと理解してくれるようになったそうです。夫が痛みを信じてくれるようになったことが、薬以上に効いたかもしれませんと笑っていました。

その後

まだ治療途中で完全に痛みがゼロになったわけではありません。でもH.Mさんは痛みと上手に付き合いながら自分の生活を取り戻していきました。

漢方は今も体調の波に合わせて調整しながら続けています。


費用について

線維筋痛症の漢方治療の費用目安です。

1週間あたり1日あたり1ヶ月あたりの目安
基本となる1薬方の場合4,200円〜4,900円前後約600円〜700円約18,000円〜21,000円
複数の薬方や補助剤を使用する場合5,000円〜7,700円前後約710円〜1,100円約21,000円〜33,000円

慢性の痛みは治療が長くなりがちなので、続けられる範囲での薬方を一緒に考えます。漢方相談は無料です。
よくある質問無料相談の理由


患者さんからのメッセージ

H.Mさん
西宮市

3年間、5つの病院を回ってどこでも異常なしと言われ続けました。痛いのは本当なのに、気のせい、更年期、ストレスで片付けられて、自分がおかしいのかと本気で思っていました。

薬鍼堂に来た時、ちゃんと体に理由がありますよと言ってくれて、やっと私の痛みを信じてくれる人に出会えたと思えました。

漢方を始めて、倦怠感が取れて、痛みの波が穏やかになって、半年かけて少しずつ自分の生活が戻ってきました。

今でも痛みはあります。でも前みたいに痛みに支配されてはいません。

同じようにわかってもらえない痛みで苦しんでいる人がいたら伝えたいです。


線維筋痛症で悩む方へ、知っておいてほしいこと

西洋医学の治療と併用できます

線維筋痛症ではプレガバリン(リリカ)やデュロキセチン(サインバルタ)などが処方されることがあります。漢方はこれらと併用が可能です。薬を増やしたくない、副作用がつらいという方も、まずは今の治療を続けながら漢方を加えていけます。

すぐ治るとは言いません。

正直にお伝えすると、線維筋痛症は時間のかかる病気です。数週間で劇的にというわけにはいきません。でも3ヶ月、半年と体を整えていくことで、痛みの程度も、痛みとの付き合い方も確実に変わっていきます。

痛みだけでなく、体全体を診ます

線維筋痛症の方は痛みのほかに不眠、倦怠感、冷え、気分の落ち込み、胃腸の不調などを抱えていることがほとんどです。漢方はこれらをバラバラに扱うのではなく、体全体のバランスを整える中で、まとめて改善を目指します。


よくあるご質問

Q
病院でリリカやサインバルタを飲んでいますが併用できますか?
A

はい、併用できます。現在の服薬内容を教えていただければそれを踏まえた漢方をご提案します。将来的に減らしていきたい場合もサポートします。

Q
どのくらいで効果が出ますか?
A

睡眠や倦怠感の改善は1〜2ヶ月で感じる方が多いです。痛みそのものの変化は3ヶ月前後から。線維筋痛症は個人差が大きいので、半年〜1年を一つの目安としてじっくり取り組んでいただくことをおすすめします。

Q
痛みで外出がつらいのですが。
A

電話・LINE・オンラインでの相談に対応しています。漢方薬は代引きで全国に発送していますのでご自宅から治療を続けられます。
メールでの漢方相談

Q
家族に病気を理解してもらえません。
A

線維筋痛症は見た目に分かりにくく、ご家族の理解を得られず苦しむ方が多い病気です。ご希望があればご家族にも病気の説明をさせていただきます。一人で抱え込まないでください。


わかってもらえない痛みを一人で抱えないで

全身の痛み。検査では異常なし。気のせいと言われる日々。

その痛みは気のせいではありません。ちゃんと体に理由があって整えていけるものです。

薬鍼堂は15年以上にわたり、原因がはっきりしない不調に漢方で向き合ってきました。線維筋痛症のように西洋医学では決め手がないとされる領域こそ、漢方がお力になれる場面が多くあります。

相談料は無料です。痛みでお疲れの方はオンラインでも構いません。まずは話を聞かせてください。


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