生理の1〜2日前になると決まって頭が痛くなる。生理痛そのものは軽いのに頭痛だけが毎月やってくる。今回はそうした生理前頭痛のご相談で、漢方を始めて約1ヶ月で頭痛が出なくなった30代女性の記録をご紹介します。

薬鍼堂の頭痛のご相談では生理やホルモンの変動に連動する方が37.9%いらっしゃいます。体質タイプ別の考え方は頭痛の漢方相談にまとめています。

ご相談時の状態

初回にうかがった内容です。

  • 生理の1〜2日前から頭痛が始まる(毎月)
  • 生理痛そのものはほとんどない
  • 足の冷えが強い
  • 足のむくみがある
  • 肩こりがある
  • 健康診断でコレステロール値の高さを指摘された

頭痛薬でその場をしのいでこられましたが毎月同じことが繰り返される状態でした。

なぜ生理前に頭痛が出るのですか

東洋医学では生理周期に連動する頭痛を血(けつ)の不足と巡りの停滞から考えます。生理の前は体が経血の準備のために血を集めます。もともと血が十分でない方はこの時期に頭を養う分が足りなくなり、頭痛としてあらわれます。

この方の場合、そこに水の停滞が重なっていました。足の冷えとむくみがその手がかりです。血の不足と水の停滞。この2つが重なり生理痛が軽いのに頭痛だけが強いという状態になっていると推察されます。

経過

時期ご様子
初回生理前頭痛、足の冷え、むくみ、肩こり
2週間後冷えが少しやわらぐ。生理1〜2日前からの頭痛は続く
約1ヶ月後生理前の頭痛が出なかった。冷え・むくみもやわらぐ
約1ヶ月半後特に問題なし
約2ヶ月後生理前に軽い頭痛がぶり返す
約3ヶ月後イライラと肩こりが前面に出たため薬方を変更
約5ヶ月後冷えとむくみが気になったため元の薬方へ
約7ヶ月後むくみは少し残るが頭痛なし
約10ヶ月後頭痛なし
約1年後生理前の頭痛は出ない。首のこりから来る別の頭痛が時々
約1年3ヶ月後首も頭痛も落ち着く
1年半以降頭痛の訴えはなくなり別のご相談へ

1ヶ月で変わったのはなぜですか

血を補いながら水の巡りを整える方向がこの方の状態に合っていたためと考えています。生理前頭痛は痛みが出てから抑えるより、生理前に血が不足しにくい状態をつくるほうが変化が出やすい症状です。

実際にこの方も頭痛より先に冷えとむくみが改善され、その後に頭痛が出なくなるという順番をたどりました。体の土台が整ってから症状が引くという順序は漢方ではよく見られます。

途中でぶり返したのはなぜですか

約2ヶ月後に軽い頭痛が一度戻りました。これは失敗ではなく想定の範囲です。体質は一直線には変わりません。生理周期、季節、疲労の度合いによって波が出ます。

大切なのはぶり返したときの強さと長さが以前より小さくなっているかです。この方の場合、戻った頭痛は少しという程度で以前のように毎月決まって強く出る形ではありませんでした。そのまま薬方を続け以降は落ち着いています。

一度良くなった後に揺り戻しがあると効いていないのではと不安になる方が多いのですが経過の途中では自然なことです。

途中で薬方を変えたのはなぜですか

約4ヶ月後、ご相談の内容が変わりました。冷えとむくみが落ち着く一方で、生理前のイライラと首こりが前に出てきたためです。そこで気の巡りを整える方向へ切り替えました。その後、季節が変わって再び冷えとむくみが出てきたため薬方を戻しています。

同じ方でもその時に前に出ている症状によって選ぶ薬方は変わります。この症状にはこの漢方と固定しないのが体質から組み立てるということです。市販薬や決められた処方から選ぶ方法との違いはここにあります。

1年後に出たのは別の頭痛でした

約1年が経った頃、また頭痛の訴えが出ました。ただし性質が違いました。生理周期とは無関係で首のこりや寝違えのあとに、夕方から後頭部にかけて出る頭痛でした。出るきっかけも時間帯も以前とは異なります。

そのため血を補う方向ではなく、首まわりのこわばり取り除いていく方向で対応しました。数ヶ月で首も頭痛も落ち着き、その後は頭痛の訴えが出ていません。

頭痛と一口に言っても同じ方の中でも原因が入れ替わることがあります。前の薬方をそのまま続けていたらこの首由来の頭痛には届かなかったはずです。

この症例から言えること

  • 生理前の頭痛は頭ではなく血と水の状態から整えると変化が出ることがある
  • 冷えやむくみが先に改善し、その後に頭痛がひいていくという順序をたどることがある
  • 一度良くなっても途中で揺り戻すことがあり、それ自体は経過の一部
  • 出ている症状が変われば薬方も変えていく
  • 同じ方でも頭痛の原因が入れ替わることがあり、その都度見立て直す必要がある

よくあるご質問

Q
生理前の頭痛はどれくらいで変化を感じますか
A

この方は約1ヶ月で生理前の頭痛が出なくなりました。生理周期に連動する頭痛は、1周期ごとに変化を確かめられるため比較的判断しやすい症状です。ただし体質や経過には個人差があり、数ヶ月かかる方もいらっしゃいます。

Q
生理痛がなくても頭痛だけ出ることはありますか
A

あります。この方も生理痛はほとんどありませんでした。生理痛が軽いのに頭痛だけ強い場合、原因が血の不足と水の停滞にあることが少なくありません。見立てが変われば選ぶ薬方も変わります。

Q
痛み止めは飲み続けても大丈夫ですか
A

併用していただけます。すぐにやめる必要はありません。頭痛が出にくくなるにつれて、自然と使う回数が減っていく方が多くいらっしゃいます。

Q
ピルを飲んでいても漢方は使えますか
A

併用されている方はいらっしゃいます。服用中のお薬はすべてお知らせください。そのうえで組み合わせを考えます。

Q
途中で薬が変わることはありますか
A

あります。この方も経過の途中で2回変更しています。前に出ている症状が変わればそれに合わせて組み立て直すためです。変更は改善が進んだ結果であることも多く、悪化のサインとは限りません。

Q
費用はどれくらいかかりますか
A

体質により異なりますが、1週間あたり3,500円〜7,000円前後が目安です。相談料はいただいておりません。回復に伴って薬方を減らしていくため、費用も段階的に下がっていくことが多いです。

本記事は当店にご相談いただいた記録をもとにご本人が特定されないよう再構成したものです。経過には個人差があり、同じ経過を保証するものではありません。診断は医療機関によるものです。これまでに経験のない強さの頭痛、手足の麻痺、発熱を伴う場合は、まず医療機関を受診してください。

監修・執筆|薬鍼堂 代表 三井 翔(みつい しょう)

薬鍼堂は、15年以上・のべ5千人以上の漢方相談に携わってきた、兵庫県伊丹市の漢方専門店です。
代表 三井 翔(漢方専門家/鍼灸習得/伊丹・豊中2店舗)が、一人ひとりの体質と背景を1時間かけて丁寧に伺います。
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