気分が沈んだまま戻らない。理由のはっきりしない不安が続き以前は楽しめていたことにも心が動かない。うつの漢方相談では長く続いた落ち込みに加えて、夜に寝つけないというお悩みを一緒に伺うことがよくあります。今回は長年気分の落ち込みと不安が続いていた50代の女性が漢方で体質を整え、12ヶ月で治療を終えられるまでの経過をご紹介します。
薬鍼堂は伊丹市の店舗でのご相談のほか、LINE・電話・オンラインでの相談に対応しています。相談料はいただいておりません。
この記事の要点
- 長く続く気分の落ち込みにはストレスによる気の滞りと、長年の消耗による体力の不足が重なっていることがあります
- この患者さんは1ヶ月で落ち込みが少し軽くなり、3ヶ月で不安感が落ち着き、6ヶ月で外に出て新しいことを始められました
- 主治医と相談しながら西洋薬を少しずつ減らし、9ヶ月で睡眠薬なしで眠れるようになって、12ヶ月で治療を終えられました
気分の落ち込みや不安が長く続くのはなぜですか
強いストレスを受け続けると心と体はずっと身構えた状態になります。身構えた状態が長く続くと休んでも疲れが抜けず、気持ちを立て直す力そのものが削られていきます。
はじめはストレスへの反応だったものが何年も続くうちに体の状態として定着してしまうことがあります。原因となった出来事が過ぎ去っても落ち込みや不安だけが残るのはこのためです。以前は楽しめていたことが楽しめなくなるのも気持ちの問題というより、心が動くための余力が残っていない状態と考えられます。
夜に寝つけないこともこの状態と深くつながっています。頭が休まらないまま布団に入るので眠りに入れず、眠れないことで翌日の気力がさらに落ちていきます。
ですから気持ちを前向きに切り替えようとするより、落ち込みにくい体の土台を少しずつ戻していくほうが結果として近道になります。
うつを漢方ではどう考えるか
漢方では気分の落ち込みや不安を、心と体を動かしている「気」の巡りと量の問題として捉えます。
ストレスが続くと気の巡りが滞ります。滞りが長引くと体を養う気や血(けつ)が少しずつ消耗していきます。巡りが悪いうえに量も足りない状態になると気持ちが晴れず、心が動かず、夜も落ち着いて眠れなくなります。
この状態にある方は落ち込みのほかに次のような特徴を持っていることがあります。
- 布団に入っても頭が休まらず、寝つけない
- 理由のはっきりしない不安がある
- 以前は楽しめていたことに気持ちが向かない
- 疲れやすく、休んでも回復した感じがしない
- ため息が多い、胸のあたりが重い
ですから漢方では落ち込みだけを狙うのではありません。滞った巡りを動かしながら消耗した分を補って、心と体が揺らぎにくい状態へ整えていきます。この方も長年のストレスで巡りが滞り、あわせて消耗も進んでいるタイプと見立てて整えていきました。
【症例】50代女性・12ヶ月で治療を終えるまで
患者さんプロフィール
- 年齢・性別 50代・女性
- お住まい 兵庫県西宮市
- 主な症状 気分の落ち込み。不安感。楽しめない。寝つきが悪い
ご相談時の状態
落ち込みが始まったのはずいぶん前、強いストレスを抱えていた時期だったそうです。それ以来、気分の沈む状態が続いており、心療内科に通って抗うつ薬と睡眠薬を服用しておられました。
特につらかったのは、はっきりした理由のない不安と何をしても楽しいと感じられないことでした。外に出る気力も湧かず、家で過ごす時間が長くなっていたそうです。
夜は睡眠薬を飲んでも寝つくまでに時間がかかっていました。長く薬を飲み続けていることへの迷いもあり、体質から整える方法を探して薬鍼堂にご相談いただきました。最初は通院先のお薬と漢方を併用する形で始めました。
漢方治療の経過
- 1ヶ月 気持ちの落ち込みが少し軽くなる
- 3ヶ月 不安感が落ち着いてくる
- 6ヶ月 外に出る気力が戻り、新しいことを始める
- 9ヶ月 睡眠薬なしで眠れるようになる
- 12ヶ月 抗うつ薬・睡眠薬ともに飲まなくなり、治療を終了
患者さんの声

「あれだけ気持ちが落ち込んでいたのに、今では毎日が楽しいです」
経過から見えること
最初の変化は1ヶ月目、気持ちの落ち込みが少し軽くなったことでした。長年続いていた落ち込みが1ヶ月で消えることはありません。それでも少しマシと感じられたことが続けるきっかけになりました。
3ヶ月で不安感が落ち着いてきました。不安が静まると心が外に向かう余力が戻ってきます。6ヶ月で外に出て新しいことを始められたのは、その余力が行動に表れたものです。楽しめないという状態が楽しみを自分で探しに行く状態へ変わっていきました。
最後まで残ったのが睡眠でした。9ヶ月で睡眠薬なしで眠れるようになっています。西洋薬は主治医と相談しながら少しずつ減らしていき、症状が落ち着いてから手放すという順序でした。急いで減らしたわけではありません。
長く続いた症状ほど変化も段階を踏んで進みます。一つずつ戻っていく経過を確かめながら12ヶ月で治療を終える判断ができました。
漢方治療の費用
この患者さんの場合は1日あたり940円でした。体質や症状によって選ぶ薬方が異なるため費用も変わります。ご相談時に目安をお伝えします。相談料はいただいておりません。
※ご本人が特定されないよう、経緯の一部を変えて掲載しています。
よくある質問
- Qうつは漢方でどのくらいで変化しますか。
- A
この方は1ヶ月で落ち込みが少し軽くなり、3ヶ月で不安感が落ち着きました。12ヶ月で治療を終えられています。ただし変化までの期間は、体質や症状が続いてきた年数によって異なります。まず1ヶ月試して、変化を確認していただいています。
- Q今飲んでいる抗うつ薬や睡眠薬と漢方は併用できますか。
- A
併用できます。この方も最初は抗うつ薬・睡眠薬と漢方を併用する形で始めました。西洋薬を減らす判断は、お薬を出されている医療機関にご相談ください。抗うつ薬は急にやめると体調を崩すことがあるため、自己判断でやめないでください。現在服用中のお薬は必ずお知らせください。
- Q何年も続いている落ち込みでも相談できますか。
- A
ご相談いただけます。この方も長年続いていた落ち込みでした。長く続いた症状ほど、変化は段階を踏んで進みます。どこから変わっていくかを、経過を確認しながら一緒に見ていきます。
- Q外に出るのがつらいのですが、相談に行けますか。
- A
薬鍼堂は完全予約制ですので、待合で長くお待たせすることはありません。ご来店が難しい場合は、電話やオンラインでのご相談も承っています。まずはLINEでご相談内容をお送りいただくところから始めていただけます。
- Qうつは漢方で完治しますか。
- A
この方は12ヶ月で毎日を楽しめるようになり、治療を終えられました。ただし完治という言い方は、体質や経過によって当てはまらない場合もあります。当店では、症状の出ない状態が続き、ご本人が薬を必要と感じなくなった時点を治療の区切りとしています。
- Q病院に通わず、漢方だけで治療できますか。
- A
うつの症状がある場合は、まず医療機関での診察をおすすめします。漢方は通院と並行して体質を整えるものとお考えください。死にたい気持ちが強いときや、日常生活が送れないほどつらいときは、すぐに医療機関へご相談ください。
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うつのご相談を承っています
薬鍼堂は阪急伊丹駅すぐ、兵庫県伊丹市にある完全予約制の漢方専門店です。相談料はいただいておりません。いつから落ち込みが続いているか、眠りや体力はどうかを伺ったうえで、体質に合わせた薬方をご提案します。お一人おひとり体質が異なるため、必ずご相談の上で漢方をお選びください。経過も体質によって異なりますので、まずはご相談ください。
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監修・執筆
三井 翔 薬鍼堂 代表/大阪漢方薬房 代表
兵庫・伊丹の薬鍼堂と、大阪・豊中の大阪漢方薬房で漢方相談を行っています。同じ症状でも体の状態は人によって違うため、経過を確認しながら薬方を調整していく相談を大切にしています。