日常生活でできる起立性調節障害の治し方

伊丹の漢方 起立性調節障害

普段の生活でできる起立性調節障害の治し方

起立性調節障害でお悩みの方の症状が少しでも軽くなるように、治療中の方はより早く治るように多くの患者さんを診てきた経験から生活習慣や食事についてお話ししていきます。

水分摂取と起立性調節障害

起立性調節障害の治療ではまず非薬物療法といって日常生活の対処法で治していくのですがその対処法に関して注意しなければならない部分があります。

起立性調節障害の原因の一つに水分不足があり、ガイドラインにも書かれているのですが非薬物療法では1日1.5〜2リットルの水分摂取と塩分を多めにとるとあります。起立性調節障害の患者さんのうち本当に水分が不足している患者さんがそれほどいるのでしょうか?

水分摂取をすすめる理由

なぜ水分や塩分を摂るように言われるかというと起立性調節障害の症状として朝の調子の悪さがあるのですが、これは血圧が低いために起こります。
人は寝ている時から朝起きる時間が近づくにつれて血圧が上がっていくのですが起立性調節障害の方は自律神経のバランスが崩れているため、朝に上がるはずの血圧が上がらず立ち上がれなかったり活動ができなくなってしまいます。

そこで少しでも血圧を上げるために水分と塩分を摂るように勧められるのですが、本当に水分不足が原因であれば数日間水分をしっかり摂れば治るはずです。
1週間以上しっかり水分や塩分を摂取しても治らない場合は水分を摂るということに関して考え直さないといけません。

漢方で考える水

漢方の考えでは、水分を摂っても良くならない起立性調節障害の患者さんの多くは脾胃の水毒と言って胃が浮腫んでいる状態になっています。

水毒というのは水の代謝が悪くなって必要なところへ水分が行かず、体の様々なところに水が余ってしまう状態です。その余った水が体に様々な悪い影響を与え自律神経に影響を及ぼしたりめまいを起こしたりします。

特に起立性調節障害の方は胃に水毒があり水分をいくら摂っても水の代謝が悪いため、必要なところには行かずに溜まってしまい胃が浮腫んで水毒がさらに悪化してしまいます。水毒が悪化することによって自律神経がさらに乱れたりめまいがしてしまうのです。
胃が浮腫んでいるので食欲が無かったり吐き気がする方も起立性調節障害の患者さんには多いです。

起立性調節障害の胃のむくみしかし起立性調節障害と診断された方のほとんどが水分や塩分を多く摂るようにと言われます。
体に水が余っているのにさらに水分を摂り過ぎるとどうなるでしょう?
浮腫んでいる人が水分の摂り過ぎによって症状が悪化してしまうことも少なくないです。

起立性調節障害に水分摂取は必要?

そもそも起立性調節障害は自律神経の問題です。血圧が低いからといって水分で血圧を上げようとしても自律神経を整えないことには全く意味がないのです。
水分摂取で治るものは起立性調節障害とは別のものとして考えたほうがいいのかもしれません。
漢方薬を扱っている病院でも水毒を治す漢方薬を処方しているのに水分を多く摂るようにと矛盾した治療をしているところが少なくないです。

水毒を治すための日常生活

まずは水分の代謝を上げることが大切です。そのためには胃腸の働きを良くして浮腫みを取っていくこと。

1日における水分摂取の量に関しては季節によっても変わりますが、あまり意識し過ぎないで喉が渇いたら飲むくらいで大丈夫です。飲み物だけでなく食事からも水分は摂取されます。

胃が冷えても水毒は悪化します。冷たい飲み物をガブガブ飲んでいると非常に良くないです。なるべく温かい飲み物にしましょう。

生ものや甘いものは胃の働きが悪くなりやすいです。摂りすぎに気をつけましょう。

消化に良いものを食べてよく噛むことも大切です。

発散することも大切

もう一つ、漢方の考えでは起立性調節障害は気の上衝といって気(エネルギーや熱っぽいもの)が首から上にこもってしまう状態があります。気の上衝があるとのぼせやすかったり、頭痛がしたりします。気がこもることで精神的にも不安定になりやすいです。
起立性調節障害と気持ちの落ち込みなどのこころの不調が重なって出やすいのはこのためです。
こもっている気を発散することで気の上衝は緩和させることができます。

どうやって発散させるか?

運動して汗をかくと発散します。毛穴が開いて汗と一緒に熱が出ていくイメージです。起立性調節障害の方は午後からは調子が良くなることが多いので午後に運動をして軽く汗を流して発散しましょう。

汗をかくのがポイントと書きましたがよく聞かれるのがお風呂やサウナは良いですか?という質問です。
運動と比べると効果は低いのですが多少は効果があります。ただ、起立性調節障害の方は気の上衝があるためのぼせやすいです。長湯したりするのが苦手な方も多いのでは?のぼせて倒れたりすると危険ですのでほどほどにしてください。

起立性調節障害の注意

辛いものを食べても気は発散します。辛いものを食べると汗をかきますよね?汗をかくということは気の発散に大きく関与しています。

漢方では気味といった分類があるのですが気(き)の強いものと味(み)の強いものがあります。気の強いものとは香りが強いもの。鼻で強く感じられるものです。味が強いものとは舌で強く感じるもの。辛さもこの2種類に分けると鼻で感じやすい辛さと舌で感じやすい辛さがあります。
鼻で感じやすい辛さとは薄荷や紫蘇みたいにスーッとするものが多いです。香りの強いシナモンなども気の強いものになります。舌で感じる味の強いものは唐辛子などの舌がピリピリする辛さです。
どちらかだけということはなく気と味のどちらのほうが強いかで分けることができます。
起立性調節障害の場合は気の強い辛さのほうが発散しやすいです。

起立性調節障害の日常生活でできる治し方のまとめ

水毒を悪化させないように水分を摂り過ぎないように気をつけること。

食べ物に気をつけて胃腸の働きを良くすること。

運動で体の上にこもった気を発散させること。

長湯やサウナはほどほどに。

気の強い辛味でも発散させることができる。

これ以外にも人によって血虚や気滞なども関わってくるのですが共通しやすい水毒と気の上衝に対しての対処法をお伝えしました。起立性調節障害でお悩みの方はぜひ試してみてください。

タイトルとURLをコピーしました