肺マック症(非結核性抗酸菌症)とは?
肺マック症とは、「マック菌(Mycobacterium avium complex)」と呼ばれる非結核性抗酸菌(NTM)が肺に感染する病気です。結核とは異なり、進行は緩やかですが慢性的に症状が続きやすく、完治が難しいこともある感染症です。
主な症状
- 長引く咳、切れにくい痰
- 微熱、倦怠感、息切れ
- 胸の痛みや食欲不振
- レントゲンやCTで影が写ることも
西洋医学では、複数の抗菌薬を長期間使用する治療が一般的ですが、副作用や体への負担が大きく、治療を続けることに不安を感じる方も少なくありません。
漢方から見た「肺マック症」
漢方では、肺マック症のような慢性化しやすい呼吸器の感染症を以下のようにとらえます。
- 「肺陰虚(はい・いんきょ)」:肺が乾き、潤いが不足し、咳や痰が出やすい
- 「気虚(ききょ)」:免疫力・体力の低下により菌に抵抗できない状態
- 「痰湿(たんしつ)」:痰が体内に滞り、呼吸を妨げる
- 「瘀血(おけつ)」:慢性炎症による血流の滞り
漢方治療では、体全体のバランスを整えながら、肺を潤し、免疫力を立て直し、菌に負けない体を育てることを目指します。
症例紹介|兵庫県西宮市在住・60代女性 Y.Mさんの場合
ご相談のきっかけ
3年前に肺マック症と診断され、抗菌薬治療をスタート。
当初は改善の兆しもありましたが、長期服用による副作用(吐き気・食欲不振)で中断。
その後、咳・痰・だるさがぶり返し、「自然治癒力を高める方法を試したい」とご相談に来られました。
初回カウンセリングでの印象
- 声がかすれ気味で、咳が1日中出ている
- 舌に乾燥と亀裂があり、顔色はやや黄色味あり
- 疲れやすく、午後以降は家事が手につかない
- 「日常会話でも咳が止まらない」と困っておられました
治療経過|少しずつ、確実に「呼吸が楽になる」感覚へ
▶1ヶ月目
- 咳の頻度は変わらないが、痰の切れが良くなる
- 夜間の咳込みが減り、睡眠時間が長くなる
- 「毎日が少しマシになった気がする」との声
▶2ヶ月目
- 朝の咳が軽くなり、起床が楽に
- 倦怠感が和らぎ、午前中に家事ができるように
- 食欲が少し戻ってくる
▶3ヶ月目
- 咳込む回数が週2〜3回に減少
- 痰の量も明らかに減り、呼吸が浅くならなくなる
- CT検査で炎症影が「現状維持〜やや改善」との医師所見
▶4〜5ヶ月目
- 週の半分は咳をほとんど気にせず過ごせる
- 外出時にマスクでの息苦しさが軽減
- 「以前より声が出るようになった」との自己実感
▶6ヶ月目
- 咳や痰はほぼ気にならなくなり、「普通に会話ができる」状態に
- 体重もやや回復し、表情が明るくなる
- ご本人も「再発させないように、これからも体を整えていきたい」と継続治療を希望
患者さんの声

薬を飲み続けることがつらくて、でも治療をやめるのも怖くて…。
そんな時に「体質から整えていく」という考え方に惹かれて相談しました。
最初の1ヶ月は正直変化が少なかったですが、2ヶ月を過ぎた頃から体の芯がしっかりしてくるような感覚が出てきました。
今は、咳が止まっただけでなく、気持ちも前向きになれています。とても感謝しています。
よくあるご質問(FAQ)
- Q漢方で肺マック症は完治できますか?
- A
現代医学でも完治は難しいとされる病気ですが、症状のコントロールや体力・免疫力の強化を通じて再燃を防ぎ、日常生活を取り戻すことを目的にしています。実際に、漢方治療で息切れや咳が軽減し、完治する方は多くいらっしゃいます。
- Q病院の薬と併用できますか?
- A
はい、併用可能です。漢方は抗菌薬などとの飲み合わせにも配慮しながら処方します。服用中のお薬がある場合は、安心してご相談ください。
- Qどのくらいで効果が実感できますか?
- A
個人差はありますが、1〜2ヶ月で「咳が楽になった」「体力が戻ってきた」と感じる方が多く、3〜6ヶ月で安定した効果を実感されるケースが多いです。
- Q高齢でも漢方治療は可能ですか?
- A
はい。年齢や体力に応じた処方を丁寧に行います。体への負担が少なく、長期的にも安心して継続できるのが漢方の特長です。
まとめ|慢性的な咳と体力低下に悩む方へ
肺マック症は、進行がゆっくりである分、「治療を中断したまま放置されやすい」病気でもあります。
ですが、咳や痰、倦怠感といった症状が続くことで、生活の質は確実に落ちてしまいます。
漢方では、こうした状態を免疫力・体力・呼吸器のバランスからとらえ、再燃しにくい体づくりをめざしていきます。
「薬がつらい」「体調が戻らない」と感じている方こそ、ぜひ一度、薬鍼堂へご相談ください。