漢方薬処方集

漢方処方紹介

1000方以上にも及ぶ漢方薬の中から薬鍼堂でよく使われる薬方を紹介します。

ア行

温清飲(うんせいいん)

黄連解毒湯と四物湯を合わせた処方です。黄連解毒湯で体の中の熱を冷まして、四物湯で熱によって乾燥したところを潤します。2つの処方の割合はその時によって変わります。血液循環を良くし出血を抑え、のぼせや手足のほてりを鎮める作用があります。皮膚病によく使いますがホルモンバランスを整える効果もあり婦人科系にも処方されます。

構成生薬

黄連、黄芩、黄柏、山梔子、当帰、地黄、芍薬、川芎

適応

  • アトピー性皮膚炎
  • 尋常性乾癬
  • 口内炎
  • 高血圧
  • 更年期障害
  • ベーチェット病
  • 円形脱毛症

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)

越婢加朮湯は名前の通り越婢湯に白朮もしくは蒼朮を加えた薬方です。
主に体の熱、腫れ、痛みを発散します。腰痛や関節炎、リウマチなど痛みを取るのによく用いられます。
また、水分の代謝を調整する作用があるのでむくみを取ったり腎炎やネフローゼ症候群にも効果があります。
熱の発散、水の調整から炎症が強く分泌物の多い皮膚病にも応用できます。
比較的体力のある人であれば、慢性症状にも適用できますが基本的には虚弱体質や衰弱した人には不適です。

構成生薬

麻黄、石膏、蒼朮(白朮)、大棗、生姜、甘草

適応

  • 腰痛
  • 関節痛
  • 関節リウマチ
  • 腎炎
  • ネフローゼ症候群
  • 湿疹
  • 結膜炎

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

清熱、清熱、五臓の心の清熱。胸から上の熱をとるのによく使います。苦いです。東洋医学では酸、苦、甘、辛、鹹の五味がありそれぞれに作用があります。苦には冷やす作用があり、苦味で熱をとるのです。熱をとることによって、本来の機能に対して働き過ぎているものを鎮め、正常な状態に戻す役割があります。のぼせやほてりといったものは、胸から上の熱が強い状態にあります。それらが精神的なイライラ感や眠りづらさ、血圧を高めに推移させ、体調として重苦しくなり、肩こりやめまい、耳鳴りといった症状を作り出します。その他に出血を止める作用もあります。黄連解毒湯を粉末にしたものを黄解散といいます。冷えを抱えている場合などは注意が必要です。

構成生薬

黄連、黄芩、黄柏、山梔子

適応

  • 皮膚病
  • 高血圧
  • 脳出血
  • 不眠
  • 口内炎

カ行

葛根湯(かっこんとう)

みなさんに一番馴染みのある漢方薬かもしれません。風邪をひいたときに飲まれた方も多いのでは?発汗作用があるので、風邪のひき始めで、寒気がしてこれから熱がでるかもと思われるような風邪に効果があります。妊婦さんでも使えるため、万人向けといわれています。基本的な働きは体を温めて発散。血液を潤し、血の流れをよくします。麻黄のエフェドリンによる覚醒作用もあります。

構成生薬

葛根、麻黄、桂枝、芍薬、大棗、生姜、甘草

適応

  • 風邪
  • 肩こり
  • 頭痛
  • 結膜炎
  • 中耳炎
  • 乳腺炎
  • じんましん
  • 三叉神経痛(いわゆる顔面神経痛)
  • 夜尿症(おねしょ)

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)

精神的な落ち着かせる効果があり、興奮、イライラ、悲しみなど急迫症状を緩和させてくれます。子供の夜泣きやひきつけ、ヒステリーやてんかんなどにも効果があります。気持ちを和らげてくれるので激しい痒みや痛みの頓服に使うこともあります。

構成生薬

小麦、大棗、甘草

適応

  • 夜泣き
  • ヒステリー
  • 神経症
  • 痙攣
  • てんかん

桂枝湯(けいしとう)

漢方薬の中で1番基本となる処方です。桂枝湯に葛根と麻黄を加えると葛根湯、芍薬を加えると桂枝加芍薬湯、竜骨と牡蠣を加えると桂枝加竜骨牡蠣湯などここからいろんな薬方に派生していきます。体力が低下しているときの風邪の初期で、頭痛やのぼせ、悪寒、汗が自然ににじみ出るなどの症状がある人に用いられています。温めて発散し、胃腸を整えます。桂枝湯を飲んだ後は熱いおもゆをすすり、布団を一枚多くして寝る。

構成生薬

桂枝、芍薬、甘草、大棗、生薬

適応

  • 風邪
  • のぼせ
  • つわり

桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

桂枝湯に蒼朮と附子を加えた薬方。
体を温め、痛みを発散させる作用があるため、関節痛、しびれ、冷え、運動障害など、各種の運動器・神経疾患に用います。
寒さによって痛みやしびれがが悪化するような症状が特徴で、新陳代謝の機能を高める作用があり、全身機能が衰弱したときに処方されます。
附子が配合されており、のぼせの強い人には適応しません。冷え症で、体力のあまりない人に向いています。

構成生薬

桂枝、芍薬、蒼朮、附子、大棗、生姜、甘草

適応

  • 関節痛
  • 神経痛
  • 関節リウマチ

桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

桂枝加竜骨牡蠣湯は桂枝湯に気分を落ち着ける竜骨と牡蠣を加えた薬方。
竜骨と牡蠣には鎮静作用があり、特に精神的な鎮静に使い、気力をつけます。
精神面が関係している性的機能変化にも効果を現します。
似た薬方に芍薬、大棗、生姜を抜いた桂枝甘草竜骨牡蠣湯があります。

構成生薬

桂枝、芍薬、竜骨、牡蠣、甘草、大棗、生姜

適応

  • 自律神経失調症
  • 不眠症
  • のぼせ
  • 心臓神経症
  • 動悸
  • バセドウ病
  • 橋本病
  • 夜尿症
  • 円形脱毛症
  • 夢精
  • 夢交

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

婦人科によく使うお薬ですが男性に使うこともあります。瘀血(血が滞っている状態)を治します。この漢方薬が合うタイプの人は気の上衝(気や熱が上にあがってくる)があるので下半身が冷えて顔はのぼせる「冷えのぼせ」や、軽い精神症状、肩こりなどがみられます。漢方医学では「血の道症」と言われる独自の概念がありますが、更年期障害や子宮筋腫、子宮内膜症はその代表的疾患です。更年期障害で肩こりは整形外科、うつ症状は心療内科、ホットフラッシュは婦人科といくつもの科を受診する患者さんもいますが、漢方では一つの処方で全ての症状が改善する例も少なくありません。生姜、甘草を加えると甲字湯になります。打ち身、打撲なども瘀血になるのでこの漢方薬を使うことがあります。

構成生薬

牡丹皮、桃仁、桂枝、芍薬、茯苓

適応

  • 生理痛
  • 生理不順
  • 子宮筋腫
  • 更年期障害
  • 冷え性
  • 腰痛
  • 静脈瘤
  • 打撲
  • 皮膚病
  • 前立腺炎
  • 睾丸炎

サ行

柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蠣湯は神経の興奮をしずめて、心と身体の状態をよくするものです。
特にストレスの強い人や精神不安があって驚きやすい人に使います。
精神安定作用があるため、不眠やヒステリーなどのほか、統合失調症、中年以降の精力減退などにも応用されます。
また、高血圧、動脈硬化の体質改善にも使用します。
比較的に体力のある人に用いるもので、虚弱体質の人には向いていません。柴胡加竜骨牡蠣湯証の特徴として腹部の動悸や舌苔に黒苔が見られます。

構成生薬

柴胡、黄芩、竜骨、牡蠣、人参、半夏、茯苓、桂枝、大棗、生姜、大黄

適応

  • 自律神経失調症
  • 不眠症
  • 統合失調症
  • てんかん
  • 円形脱毛症
  • 高血圧
  • 狭心症
  • 更年期障害
  • 性的神経障害
  • 腎硬化症

四物湯(しもつとう)

漢方でいう『血』に使う薬方。四物湯証は血が乾燥して全体量が少なくなっている様なイメージ。元来、婦人病によく効くことで知られていますが、もちろん男性でも血行不良・貧血に効果があります。血色が悪く、黒ずんだ皮膚の方によく使います。温清飲、十全大補湯、七物降下湯、疎経活血湯など、いろんな漢方薬に四物湯が含まれることが多いです。四物湯に含まれる地黄は胃にもたれやすいので要注意。

構成生薬

地黄、芍薬、当帰、川芎

適応

  • 皮膚病
  • 貧血
  • 月経不順
  • 生理痛
  • 不妊症
  • 冷え性

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

芍薬と甘草の2味だけで構成される薬方。両方とも『緩める』という作用があります。主に筋肉を緩めます。重い物を持ったりする時に使う横紋筋はもちろん内蔵の筋肉、平滑筋も緩めてくれます。筋肉が縮こまっている状態を緩めてくれます。足がつる、ぎっくり腰などは筋肉が縮こまっている可能性があります。漢方は効き目がゆっくりなのでそんなときに間に合わない!と思われるかもしれませんがこの薬方は即効性抜群です!

構成生薬

芍薬、甘草

適応

  • ぎっくり腰
  • 寝違い
  • 生理痛
  • 胆石

小柴胡湯(しょうさいことう)

少陽病(病気の慢性化の初期段階)の代表的な薬方。ドラッグストアなどで葛根湯の横に並んでいるのを見ることが多いと思います。葛根湯証が慢性化すると小柴胡湯証になります。漢方の古典である「傷寒論」や「金匱要略」で紹介されてます。胃腸や肝臓、呼吸器の働きを良くし、体の免疫機能を調整し、炎症をおさえる効果があります。食欲不振、胃のむかつき、はきけ、胃炎、胃痛、胃腸虚弱、疲労感、かぜの後期の諸症状などに効果効能があります。他の薬方と合わせて使うことも多いです。半夏厚朴湯と合わせると柴朴湯。五苓散と合わせると柴苓湯。小陥胸湯と合わせると柴陥湯。など

構成生薬

柴胡、黄芩、人参、半夏、大棗、生姜、甘草

適応

  • 風邪
  • 中耳炎
  • 副鼻腔炎
  • 耳鳴り
  • 肩こり
  • 皮膚病
  • 肝炎
  • 食欲不振
  • 胃炎

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

体に水分が多く、その水があふれ出てくる状態に使います。花粉症などの鼻炎でよく使われるので聞いたことがある人も多いと思います。水分の多い痰や鼻水、くしゃみ、目のかゆみ、涙などに効果効能がありアレルギー疾患にたいしてほとんどの体質の人に効果を発揮する漢方薬です。ただし鼻炎の症状がひどい場合、小青龍湯単独では効きにくいので要注意。花粉症などのようなアレルギー症状に効果があるだけではなく、体を温める効果もあり、冷え性などの体質改善にも用いられることもあります。この漢方薬が合うタイプの人は上半身を冷やさないようにすることが重要です。

構成生薬

麻黄、桂枝、甘草、芍薬、五味子、細辛、乾姜、半夏

適応

  • 花粉症
  • 鼻炎
  • 喘息
  • 気管支炎
  • ヘルペス
  • 腎炎

疎経活血湯(そけいかっけつとう)

四物湯を元にした薬方です。漢方では、気、血、水の流れを改善すれば、骨など器質的な問題があっても痛みはなくなると考えられています。疎経活血湯は血と水の巡りを改善することで関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛などを治すのに用いられます。疎経活血湯証の人は血流が悪くなると痛みが悪化しやすいです。

  1. チクチクと刺すような痛み
  2. 左足の痛み(左は血が関係するため)
  3. 夜に悪化する
  4. 酒で悪化する

これが疎経活血湯証の特徴です。血と水の流れを良くするので腎炎などにも応用されます。

構成生薬

当帰、地黄、芍薬、川芎、蒼朮、茯苓、防風、防已、羌活、威霊仙、白芷、桃仁、牛膝、竜胆、陳皮、甘草、生姜

適応

  • 腰痛
  • 関節痛
  • 神経痛
  • 腎炎

タ行

大柴胡湯(だいさいことう)

大柴胡湯は柴胡の使われる薬方の中で、最も実証向けになっています。がっしりした体格で便秘気味の人に使われます。肝臓での脂質代謝を高める作用があり、食事で摂取した脂質の吸収を抑え、肝臓でしっかり燃焼し大腸で素早く排出します。虚弱体質の人に大柴胡湯を使用すると症状が悪化する恐れがあります。そういった場合は小柴胡湯が考えられます。また、大黄が入っているので妊娠中の方は服用しないほうがいいです。子宮収縮作用や骨盤内臓器の充血を起こし、流産や早産の原因になります。

構成生薬

柴胡、黄芩、枳実、芍薬、半夏、大棗、生姜、大黄

適応

  • 肝機能障害
  • 肝硬変
  • 胆石症
  • 高血圧
  • 胃炎
  • 胃酸過多症
  • 肥満
  • 糖尿病
  • 不眠症

釣藤散(ちょうとうさん)

高血圧の漢方薬として出される方が多いと思います。イライラしやすかったり気難しく頑固な性格の人に使うのですが、わかりやすく言うと気が逆上してカァーッとなる人です。気が上に上がっているので頭痛や、目が充血している人が多いです。このタイプの人は無意識に緊張しており、血管が硬くなります。釣藤散は神経の異常興奮を鎮めてくれる漢方薬です。脳の血流をよくしてくれる作用があるため、認知症にもエビデンスがあり、血管性認知症やアルツハイマーに有効です。認知症とまでは行かない段階でも、物忘れなどが気になる方が予防的に飲む、というのにも適しています。

構成生薬

釣藤鈎、菊花、防風、人参、茯苓、麦門冬、石膏、陳皮、半夏、生姜、甘草

適応

  • 高血圧
  • 脳血管障害
  • 神経症状
  • 頭痛
  • 頭重
  • 耳鳴り
  • めまい
  • のぼせ
  • 肩こり

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散。略して当芍散。昔から当芍美人という言葉があります。この薬方が当てはまるタイプの人には美人が多いということです。色白、細身でむくみやすいので目の下に涙袋がある方が多いです。古来から女性特有の様々な症状を和らげる働きがあるとされ、幅広い年代の女性たちに愛用されてきた婦人科で使う代表的な薬方です。体を温める効果、血行を良くする効果、ホルモンバランスを整える効果、痛みを和らげる効果、利尿を促しむくみを改善する効果、胃腸の機能を整える効果などがあります。
構成生薬

当帰、芍薬、白朮、川芎、茯苓、沢瀉

適応

  • 生理不順
  • 不妊症
  • 生理痛
  • 更年期障害
  • 冷え性
  • 習慣性流産
  • 貧血
  • めまい
  • むくみ

ナ行

人参湯(にんじんとう)

別名を理中湯といい、丸剤にしたものを理中丸といいます。胃腸の機能が低下した方に使います。この証の人は口の中に唾液が溜まりやすいです。理中「中」は体の中心の胃腸をあらわし、胃腸の働きを高めて、食欲不振、胃もたれ、胃痛、下痢、腹痛、胃炎、胃下垂などの胃腸機能を改善する作用があります。胃腸の働きを高め、免疫力を上げるので、冷え性、体力がない人、胃腸が弱い人によく処方されます。冷えが強い場合には附子を加えて附子理中湯(丸)にします。

構成生薬

人参、白朮、甘草、乾姜

適応

  • 食欲不振
  • 下痢
  • 胃腸炎
  • 胃潰瘍
  • つわり
  • 冷え性

ハ行

八味地黄丸(はちみじおうがん)

腎虚(精の衰え)の代表的な漢方薬です。ある程度年齢がいくと誰にでもこの証は出てきますのでお年寄りの方によく使います。腰から下に力が入りにくく、冷える方が多いです。原典ではお酒で服用します。別名がいろいろありますが八味丸、腎気丸などがよく使われます。桂枝と附子を抜くと2つ減って六味地黄丸(六味丸)となります。八味地黄丸は、体力が衰えている方に向いていますが、体力が充実し、暑がりで、のぼせのある人には不向きです。また、胃腸が弱く、嘔吐や下痢などを起こしやすい方の服用は慎重にする必要があります。

構成生薬

地黄、山茱萸、山薬、茯苓、沢瀉、牡丹皮、桂皮、附子

適応

  • 冷え性
  • 腰痛
  • 坐骨神経痛
  • 腎炎
  • ネフローゼ
  • 萎縮腎
  • 膀胱炎
  • 前立腺肥大
  • 夜間頻尿
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 白内障

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

うつ傾向で喉に何か引っかかる感じがあれば、まず最初に候補に上がるのがコレです。こころの相談に来られる方には強さは違いますが半夏厚朴湯証がほとんどと言っていいほど入っています。ストレスに対する防衛反応として出ているのかもしれません。半夏厚朴湯には感受性を鈍くするような何かがあるかもしれないです。半夏厚朴湯の効果効能はさまざまであり、うつやパニック障害、自律神経失調症などに用いられることが多くあります。

構成生薬

半夏、厚朴、茯苓、蘇葉、生姜

適応

  • うつ
  • パニック障害
  • 自律神経失調
  • 不眠症
  • 拒食症
  • 甲状腺機能障害
  • 喘息
  • 腎炎
  • 食道狭窄症

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

体質的に疲れやすく、色白でもち肌、体がむくみやすく汗をかきやすい人に使います。一般的に水太りで肥満の方の関節痛、多汗症の漢方薬です。筋肉に締まりがなくブヨブヨした体型で、体の水の代謝がうまくいかず余分な水を体内にためこんでしまい、余分な水はやがて関節痛の原因になります。防已が体や関節の水を排泄し利尿作用を高めて痛みを取り去り、黄耆が汗が多すぎてバランスが悪くなった水分環境を良くします。水分の代謝が悪いのは胃腸が原因の場合が多いです。胃腸の機能が弱っていると水分代謝がうまくいかず、結果的に水太りになります。体の表面(表)に水が溜まっている時は関節痛や神経痛がおこり、体の内面(裏)に水が溜まっている時は腎臓に異常が出やすいです。防已黄耆湯に含まれる朮には蒼朮と白朮があり、表の水は蒼朮を、裏の水は白朮という使い分けが必要です。

構成生薬

防已、黄耆、朮、甘草、生姜、大棗

適応

  • 関節痛
  • 坐骨神経痛
  • リウマチ
  • 浮腫
  • 腎炎
  • ネフローゼ
  • 妊娠腎
  • 皮膚病
  • 多汗症
  • 肥満

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

大柴胡湯、防已黄耆湯とならんで肥満症に用いられますが、肥満の中でも特に脂肪太りといわれる太鼓腹、重役タイプの人に使います。一貫堂漢方ではこういった体質を臓毒証といい、臓毒証を改善するための第一の薬方になります。体力がありのぼせを感じる人が適しています。ダイエット目的で服用される方がいますが、虚証の人や証が合っていない人が服用されますと体力を削られるので非常に危険です。

構成生薬

大黄、芒硝、麻黄、防風、荊芥、薄荷、滑石、山梔子、桔梗、石膏、黄芩、連翹、川芎、当帰、芍薬、白朮、生姜、甘草

適応

  • 肥満
  • 便秘
  • 高血圧
  • 痛風
  • 副鼻腔炎
  • にきび

マ行

麻黄湯(まおうとう)

風邪のひき初めに用いられる漢方薬です。漢方の風邪薬の中で1番体を温めてくれます。ぞくぞくする寒気、だるさ、全身の筋肉痛、頭が痛い、のどが痛い等、インフルエンザなどの高熱がでる風邪によく使います。小さなお子さんも高熱がでやすいのでよく使います。高熱がでるということはそれだけ体力がある証拠。体力の無い方に使うと心臓や胃に負担がかかるので要注意です。

構成生薬

麻黄、桂枝、杏仁、甘草

適応

  • 風邪
  • インフルエンザ
  • 夜尿症

麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)

冷えが原因で皮膚の表面が熱をもって乾燥し、内側に水が溜まっている時の漢方薬です。。筋肉痛、関節痛で特に腫れているものを治すのに使います。表面的に熱をもちますが根本は冷えなので冷やすと悪化するので要注意。

構成生薬

麻黄、杏仁、薏苡仁、甘草

適応

  • 関節痛
  • 筋肉痛
  • 神経痛
  • 浮腫
  • 皮膚病
  • イボ

ヤ行

抑肝散(よくかんさん)

肝気の亢進(精神的な興奮や筋肉の痙攣)を抑える漢方薬です。イライラや怒りっぽいなど攻撃的な精神面を抑えてくれます。度重なる緊張状態によって引き起こされる、起こってもいないことを悪い方向に考え続けてしまう不安感や神経過敏状態を鎮める効果もあります。この漢方薬が合うタイプの人はおへその横の筋肉である腹直筋が緊張して硬くなっているのが特徴です。

構成生薬

釣藤鈎、柴胡、当帰、甘草、白朮、茯苓、川芎

適応

  • 神経症
  • 不眠症
  • 夜泣き
  • 疳虫
  • 小児チック
  • 手のふるえ
  • パーキンソン病

ラ行

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

苓桂朮甘湯はその名の通り茯苓、桂枝、白朮、甘草の4味で構成される漢方薬です。漢方では体内に余分な水が溜まって排出されない状態を「水毒」と言います。たかが体に水が溜まっているだけの状態ですが、これによってめまい、立ちくらみ、耳鳴り、動悸、精神状態の異常などといった症状を引き起こすのです。桂枝甘草で気の上衝(のぼせ)を発散させて、白朮茯苓で水毒を取り除きます。似たような漢方薬に苓姜朮甘湯、苓桂甘棗湯、苓桂味甘湯があります。四物湯と合わせると連珠飲になります。この証の人は人参の入った漢方薬を飲むとのぼせるので要注意。

構成生薬

茯苓、白朮、桂枝、甘草

適応

  • のぼせ
  • 立ちくらみ
  • めまい
  • メニエール病
  • 耳鳴り
  • 結膜炎
  • 自律神経失調症
  • 動悸
  • 心臓病

薬鍼堂
〒664-0851
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定休日 日曜・祝日・月曜

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